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むしろ老人の愚行が聞きたい
『さようなら、私の本よ!』第一部
講談社
解説:なし
定価:920円(税込)
頁数:75頁(雑誌版)
雑誌:03201-01
初出:2005年 1月号  雑誌『群像』
『取り替え子』『憂い顔の童子』に続く三部作
 
 長江古義人(ちょうこうこぎと)が三たび登場する三部作の締めくくり作品。

待望の作品がいよいよ始まりました。2005年(著者70歳)に向けての締めくくりとなる作品。
今後の展開に期待をしたいです。

 作品の題名について著者は講談社の「In Pocket」2004年4月号でこんなふうに語っている。
    <さて、三部作の締めくくりの小説のタイトルは決まってるんです。それはナバコフの
    『ザ・ギフト(賜物)』という、ベルリンで書いたロシア語の作品の終わりの、プーシキンの
    『エルゲニー・オネーギン』のリズムで書かれたらしい詩から英訳で「グッド・バイ・マイ・
     ブック!」
 「Goodbye my book!」から取ったとのことです。

 ちなみにアレクサンドル・プーシキンの『エルゲニー・オネーギン』を原作にチャイコフスキーが
とても叙情的なすばらしいオペラをつくっています。

<冒頭>
      もう老人の知恵などは
   聞きたくない、むしろ老人の愚行が聞きたい
   不安と狂気に対する老人の恐怖心が
        − T・S・エリオット、西脇順三郎訳

      第一章  見よ、かれらは帰ってくる

       1
 老人になりながら、それも暴力がらみの深手を負って初め
入院した長江古義人(ちょうこうこぎと)は、大病院の個室に顔を出す見舞客
の思いがけなさに戸惑うことがあった。個人負担で、ベッド
の底に退避用の大型パイプを設置したかった。

<出版社のコピー>
 
<おすすめ度>
  ☆☆☆☆

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