2020年(令和2年)7月3日
海外添乗の思いで(6)
いよいよ最終回です。
9. JAL帰国便W/L問題 *W/L=Wait List 取消待ち状態のこと
JTB手配箇所から帰国前日連絡が入り調整つかずオーバーブッキングのままとの回答。やばい!・・と思った。
いずれにしても37名の大人数なので覚悟はしていましたのでお客様に納得いただける案内を「ずーっと」考えていました。
不安の中、満を持した気分で夕食前に宴会場にお客様を集め以下の通り説明しました。ご承知の通り、現在では旅行業法がありこのような無茶なオペレーションは出来ません。念のため。
“先ほどJALパリ事務所から明日の私たちの便がオーバーブッキング状態で現在も調整をしていますが、かなりの数のオーバーブッキングで困っています…との連絡が入りました。JALのオーバーブッキングは非常に珍しいことで何とか協力できないかと考えて皆さんにご案内することにしました。我々の数の協力があれば一気にオーバーブッキングが解消できます。ご協力頂ける方の要望を聞きJALに連絡したいと思いますのでよろしくお願いします”。
当然ですが延泊・食事代はJAL及び当社で支払います。また、業務等で予定通り帰国しなければならないお客様(数名分)はスケジュール通りの便で帰国できるようJALの責任で確約をいただいております”と。・・すると、あるお客様が無料でパリにもう一泊できるのなら良いですよと手を挙げてくれました。それを聞いて他のお客様も手を挙げてくれました。1人のお客様を除いてほとんどの方が協力してくれたのです。業務の関係で予定り帰国したいとの申し出は1人だけだったのです。
信じられますか?私のオーバーブッキングの説明で何の疑いもしないで協力頂けたのです。日本人は困ったときは「お互い様の慣習」があり世界に誇る国民ですね。 最終地が日本人の憧れの都市「花の街パリ」だったことも味方してくれたのかもしれません。また、当時の海外旅行は高額で「冥土の土産」に参加した方や「二度目の海外旅行」はいつになるのかわからないことで最終日が近づくと判を押したように余ったドルを添乗員にお世話になったと皆さんからチップをいただきました。合計額が給料のようでした。
私の初海外旅行添乗はこうして無事に終了したのでした。古き良き時代ですね。