2021年(令和3年)11月1日
なぜ技能実習生が不法滞在者に?
法務省の統計だと昨年2020年度、日本に3か月以上滞在している外国籍(中長期在留者)は257万6622人です。その内、技能実習生は378,200人と云われています。かなりの数です。いまや、地方ではこの技能実習生が重要な働き手となっています。しかし、不法就労や不法滞在で出入国在留管理局に拘束されるケースが後を絶ちません。原因は何でしょうか。
「技能実習制度」は日本の技能、技術、知識を途上国へ移転させ経済発展の人づくりであり国際協力を目的としているので外国人技能実習生は日本の技能、技術又は知識を学んで自国に戻って学んだ技術を生かして自国に貢献することが目的です。しかし、日本では人手不足を補填するための受け入れとなっているのが現状のようです。技能実習生としてきたものの悪徳受け入れ業者の餌食になり事前に聞いた労働条件と違った劣悪な労働条件(低賃金、長期労働時間)で働かされているケースがあります。しかも、職場から逃げ出さないようにパスポートを強制的に取り上げ我慢の限界まで働かせられて耐え切れず友人を頼りに逃げ出してしまい技能実習生が一方的に被害者になっています。
技能実習生にもやや問題があります。技能実習制度の目的がわかっているにもかかわらず家族への仕送りを目的に技能実習制度を利用して出稼ぎ的感覚で技能実習生としてビザを取得することです。単純労働では就労ビザが取得できないのでほとんどの実習生は斡旋業者に借金してこの技能実習生制度を利用して就労ビザを取得していることです。日本の経済成長期には低賃金でも日本円が強かったので低賃金で働いても為替で自国に送金する時は高額になるので劣悪な職場であっても最初は一生懸命に働きます。
しかし、長期労働に耐えきれず劣悪な労働環境から逃げだし不法滞在者または不法労働者となって出入国在留管理局に拘束されてしまうわけです。また、2019年4月に設けられた「特定技能制度」がありますがこの制度も保護的な観点からすると不十分な制度です。良い制度が出来ても政府は監理団体等に丸投げしてしまい監視していないので「仏作って魂入れず」で弊害が目立ちます。
これからの日本は少子高齢化で若い働き手の労働人口が必要となるので移民政策をも含めもっと政府は積極的に外国人労働者のこのようなトラブルについて国会で議論すべきと考えます。