2022年(令和4年)12月1日
マイクロバス横転事故対応体験談(メキシコ)その4 (終)
看護師が搭乗してきたときは「神様〜ありがとう!」と密かに雄叫びをあげました。 最後の最後、首がつながったのです。何事もなかったようにモルヒネ投与の処置が終わりバンクーバー国際空港を無事出発。しかし、モルヒネを打てたものの日本までの飛行時間が往路より偏西風のため2時間以上余分にかかります。日本に着くまでに沈痛効果が切れたらどうしようかハラハラしていましたが・・・不思議なことに日本に近づくごとに精神力が味方してくれました。病気には前向きな気持ちが重要だと感じました。
いよいよ、成田国際空港に到着です。日本到着の社内アナウンスが流れて家族の方も緊張感から解放され顔色が白黒写真からカラー写真に変化したようにイキイキしてきました。
ランディングして窓から外を見たら黒のワゴン車が配車されていたので、ご家族に霊柩車がそこに見えます・・・と間違えて告げてしまいました。しかし、幸いにも飛行機の騒音で聞こえていなかった。最後にこんなことで気分を害されたら大変です。
暫くすると、JAL職員数名が来てべッドを外して、「よいしょ・・」とストレッチャーに移し、ワゴン車へ。流石、日本だ・・と感心しながらストレッチャーのあとをついていきました。その時、お嬢さんから清水さん!「忘れものですよ〜」と呼び止められました。レントゲン写真を座席に置き忘れてしまったのでした。私も緊張感が急に解け赤面の至りです。
入国手続きは成田空港職員が来てパスポートチェックと荷物検査を受けました。JTB成田空港事務所で手配した特例対応でした。入国後はお客様の入院する千葉県蘇我市の整形外科病院に直行。蘇我の病院にはJTBのお客様ご相談室長が挨拶とお詫び及び今後の損害補償関係の説明対応で待機していました。私はこの時点で解放され無事に任務を果たし終わりました。今、考えてもどのように帰宅したかは記憶がなく思い出せません。
其の後、JTB本社で役員会議に出席して、報告です。社長及び重役の面々から沢山のお褒めの言葉をいただきました。これで、密かに増額ボーナスが出るのではと期待してしまいましたが、全くありませんでした(笑)。数週間後、お客様のご自宅に招待されご馳走になったことが何よりの褒美でした。また、怪我をされたご本人は背が数センチ縮んだので背広の作り直しだよ・・と冗談を言われるほどになってました。
Happy End!