9 ホールセラーとリテーラー
旅行業界ではホールセラー、リテーラーという言葉をよく使います。この言葉は重要ですのでしっかりと覚えておきましょう。
この言葉はパッケージツアーを軸に、商品造成と販売の役割区分を表しています。
すなわち「ホールセラー」というのはパッケージツアーを作り、それを卸売りする旅行会社のことを言います。卸売りというのは自分の会社以外のところ(提携販売という言い方をします)で販売をしてもらうことを言います。パッケージツアーを造成した会社が自分自身ではで売ることをしない場合に、それを「専業のホールセラー」という言い方をします。たとえばJTBワールドバケーションズとかジャルパックなどがこれに当たります。これらの会社は旅行者に直接販売をすることはしません。あくまでも、提携販売店を通じてしか旅行商品の販売をしません。
旅行を作って、という言い方をしましたが具体的には次のようなことをします。
@航空座席の仕入を行なう(航空仕入)
A宿泊の仕入を行なう(客室仕入)
B旅行先(現地)の旅行素材(食事・観光)の仕入を行なう(観光素材仕入)
C上記をもとに旅行の組み立てを行い、利潤のあがる値段をつける
D組み立てられた旅行商品(パッケージツアー)を販売できる流通に載せる
E販売をするために必要となるパンフレット作成、WEB掲載、新聞広告、雑誌広告などをする
F販売された旅行を実施できるように必要となる手配をする
G具体的な旅行実施をする
H必要となる入金、出金などの決済処理をする
などです。
さて、リテーラーはこのようにホールセラーが作ったパッケージツアーを販売する会社です。もちろん自分で作って売る、ということをする場合が一番多いです。大半の会社はこのように、作って、売る、ということをします。しかし、最近では販売のみに徹するという会社も少なくはありません。これは旅行を作って売る、という仕事には高度な専門性が必要となり、このような部門を維持するにはコストが非常にかかるためです。コストが比較的少なくてすむ販売にのみ徹するほうが得策と経営判断をする会社が少なくないからです。大半の旅行会社は作るということよりも、販売をする、ということに力を注いでいます。
さて、リテーラーへの手数料はどのくらいなのでしょうか?旅行会社によって多少の幅がありますが5〜13%程度が一般的です。多いのは8〜10%です。お店が割引をしている場合、旅行者(お客様)への割引はこの手数料を削って行なっているというのが実態です。ですから、実際のお店収入は平均すると5%前後ということになります。
一方、作っているほうの収入ですが、こちらは販売手数料を払った後で、おおよそツアー代金の1〜7%程度、平均的には2〜3%程度です。
ホールセラーにしろリテーラーにしても、非常に薄利で商売をしていることがお分かりいただけましたでしょうか。なかなかどうして、厳しい業界でしょう?
さて、旅行会社に就職を希望している人は自分はどっちの立場で働きたいのか、よく考えておく必要があります。作るためににはやはり販売の現場も知っていたほうがいいのですが、なかなかそううまくはいきません。どちらがご自分の性格に合っていそうなのか、適性も含めてよく考えておきましょう。
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